緑の行進40周年記念日:モロッコ国王、サハラ開発の新たな指針を示す
緑の行進40周年記念日:モロッコ国王、サハラ開発の新たな指針を示す

「緑の行進」40周年記念となる11月6日夜、モロッコの国王ムハンマド六世は、サハラの都市ライユーンから国民に向けてスピーチをおこなった。

そのなかで、国王は、サハラ地域がサブサハラのアフリカ諸国との経済・社会的交流の中心地となるよう、モロッコは今後も努力を続けていくことを明言した。

「緑の行進」から40年が経過した今、第一次産品への依存、補助金への依存、行政主導のメンタリティを脱却し、民間投資を活発化させることを目指した新しい開発戦略を始動させると述べた。これまでも、モロッコはサハラ地域の住民の生活環境の向上を目指して、王国の他の地域と比べても同地域の開発について特に力を入れ、電力や水道設備などの整備を行ってきた。また、医療や教育分野についても同様である。

スピーチの中で、国王は、大西洋に面したダフラ港、スペイン対岸に位置するタンジェとサハラ地域のなかでもほぼ最南端にあるラグイラを結ぶ鉄道、ティズニット・ライユーン・ダフラを結ぶ高速道路、ダフラの海水脱塩プラントの諸プロジェクトを中心に据えた、サハラの開発に関する新たな指針を示した。新たな開発戦略の恩恵を受けるのは、主としてライユーン=サーキア・アル・ハムラ、ダフラ=ワード・ダハブ、ゲルミン=ワード・ヌーンの3つのサハラの地域である。さらに、あらゆる可能な手段をもって、同地域の社会・医療・教育分野のプロジェクトを推進し、経済開発プロジェクトと併せて、市民生活の質が向上されることを願っていると、国王は述べた。

これらの3地域を、地方分権と開発のモデルとすることで、モロッコの領土一体性を脅かす人工的な紛争に永続的な解決がもたらされることを望んでいる、と述べた。

また、ティンドゥフ難民キャンプ向けの人道援助物資が長年にわたって不正流用・横領されていたことが、今年1月に公表された欧州不正対策局の報告書で明らかとなったが、「人道援助に向けられた数億ユーロの資金、毎年約6千万ユーロの資金は、分離主義者らの武器購入やプロパガンダ、抑圧の手段となった以外に、いったいどこへ行ったのか」と、国王は人道援助の不正流用について批判した。さらに「分離主義運動の指導者らが、欧州や南米に所有する不動産や銀行に預けられた資産といった莫大な富は、どう説明できるだろうか。なぜアルジェリアは、首都アルジェの平均的な1行政区画の住民数に相当する約4万人と推定されるティンドゥフ・キャンプの住民の生活状況を改善するために、何もしなかったのだろうか」と続けた。

また、サハラ地方に対する「自治提案について、国際社会は真摯で信頼が置けるものであると評価している。昨年の緑の行進記念日のスピーチでも述べたように、この自治提案はモロッコが提示できる最大限のものである」と述べた。さらに「モロッコは不明瞭な結果をもたらすようなあらゆる賭けや、自治提案がもたらす肯定的なダイナミズムを妨害するだけの他のあらゆる提案を拒否する」と述べた。

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